2022-12-29
不動産など物理的に分割できない財産を相続する際に、分割方法を巡ってトラブルになるケースは少なくありません。
揉め事を避けて相続手続きを進めるには、遺産の分割方法と特徴を理解することが大切です。
そこで今回は、相続財産の分割方法の1つである「代償分割」について解説します。
埼玉県の狭山を中心に、入間市、日高市、飯能市、川越市、所沢市やその周辺エリアで、不動産を相続するご予定のある方はぜひ参考にご覧ください。
\お気軽にご相談ください!/
はじめに、代償分割とはなにかを解説します。
また代償分割以外の分割方法もご紹介しますので、あわせて確認しておきましょう。
代償分割とは、特定の相続人が不動産を相続する代わりに、ほかの相続人に対して代償金を支払う分割方法です。
代償金の金額は法定相続分に応じて計算します。
法定相続分とは、亡くなった方の財産を相続するにあたり、各相続人の取り分として民法上で認められている割合のことです。
法定相続分については以下を参考になさってください。
たとえば3,000万円の不動産を、配偶者と子ども1人が相続し代償分割をおこなうとしましょう。
この場合、母が不動産を取得するのであれば、子どもに1,500万円の代償金を支払う必要があります。
不動産の分割方法には、代償分割以外に「現物分割」と「換価分割」があります。
現物分割とは財産の形を変えずにそのままの状態で相続することです。
たとえば、遺産として土地と建物があり、兄が建物、弟が土地を相続する場合は、現物分割にあたります。
一方で換価分割とは、不動産を売却して得た代金を相続人全員で分け合うことです。
たとえば時価5,000万円の不動産を子ども2人で換価分割する場合は、それぞれが2,500万円ずつ受け取ることになります。
財産の分割方法としてもっとも一般的なのは現物分割ですが、遺産が建物しかない場合は物理的に分割ができないため、代償分割や換価分割を検討する必要があります。
この記事も読まれています|離婚後の子どもや連れ子の不動産相続権はどうなる?トラブル対策について
\お気軽にご相談ください!/
ここでは、代償分割を選択した際のメリットとデメリットをそれぞれ2つずつご紹介します。
不動産は現金や預貯金のように均等に分けることができないため「とりあえず共有名義にしておこう」というケースは少なくありません。
しかし、不動産を共有名義にしてしまうと、いざ不動産を売却したいとなったときに相続人全員の同意が必要になります。
誰か1人でも売却に反対した場合は手続きが進められません。
また相続時には連絡を取り合っていた兄弟でも、数年後には疎遠になっており売却の同意が取れないという可能性もあるでしょう。
代償分割であれば不動産を単独名義にできるため、ほかの相続人の意思に関係なく売却ができ、トラブルを回避できるというメリットがあります。
相続財産の大部分を不動産が占める場合、誰か1人が不動産を相続すると、不公平が生じてトラブルに発展する可能性があります。
たとえば3,000万円の不動産と1,000万円の預貯金を相続して、兄弟で現物分割する場合に、兄が不動産を相続したいといっても弟は納得できないでしょう。
代償分割であれば兄が不動産を相続したとしても、代償金として1,000万円が弟に支払われるため、ある程度公平に分割できます。
不公平感を小さくできれば、相続手続きもスムーズに進められるでしょう。
代償分割をおこなう際は、相続する不動産の評価をおこなう必要があります。
しかし、不動産の評価方法は1つだけではありません。
そのため、評価方法をめぐって相続人間でトラブルになる可能性があります。
もし話し合いを重ねても意見がまとまらなかった場合は、裁判所に調停を申し立てることになり、時間と手間がかかってしまいます。
そもそも代償分割は、不動産を相続する方に代償金を支払うだけの資力がなければ成立しません。
とくに不動産は財産のなかでも高額になりやすいため、代償金の捻出に苦労する可能性が高いです。
資力がないと利用できないのは、代償分割のデメリットといえます。
この記事も読まれています|離婚後の子どもや連れ子の不動産相続権はどうなる?トラブル対策について
\お気軽にご相談ください!/
ここでは、代償分割における遺産分割協議書の書き方と相続税の計算方法を解説します。
相続人間の話し合いで財産をどのように分割するか決めたら、遺産分割協議書を作成します。
遺産分割協議書とは、遺産分割協議でまとめた内容を記載する書面です。
代償分割をおこなう場合は、遺産分割協議書に必ず代償分割をおこなった旨を記載しなければなりません。
この記載がないと、代償金に対して贈与税がかかる可能性があります。
贈与とみなされないためにも、遺産分割協議書には対象財産の種類や金額、支払い時期などを必ず記載しておきましょう。
代償分割では、遺産だけでなく代償金も相続税の課税対象となります。
課税価格の求め方は、代償金の金額をどのように定めたかによって異なるため注意が必要です。
まずは代償金を支払った方の課税対象額から確認していきましょう。
代償金を支払った方の課税対象額を求める計算式は以下のとおりです。
一方、代償金を受け取った方の課税対象額は以下のように求めます。
また、代償金のほかに取得した財産がある場合は、その財産に上記を加算して相続税を計算する必要があります。
代償分割をおこなった際の相続税がいくらになるのかシミュレーションしてみましょう。
たとえば、相続税評価額が4,000万円の不動産を長女が相続する代わりに、次女に対して2,000万円の代償金を支払ったとします。
この場合、長女の課税対象額は「4,000万円ー2,000万円=2,000万円」です。
一方、次女の課税対象額はそのまま2,000万円となります。
続いて、時価をもとに代償金の金額を定めた場合の相続税をシミュレーションしてみましょう。
相続税評価額が4,000万円、時価が5,000万円の不動産を長女が取得して、次女に2,000万円の代償金を支払ったとします。
この場合、長女の課税対象額は「4,000万円ー{2,000万円×(4,000万円÷5,000万円)}=2,400万円」です。
一方、次女の課税対象額は「2,000万円 × (4,000万円÷5,000万円)=1,600万円」となります。
この記事も読まれています|離婚後の子どもや連れ子の不動産相続権はどうなる?トラブル対策について
代償分割をおこなうと財産を公平に分割できますが、不動産を相続する方に代償金を支払えるだけの資力が必要になります。
トラブルを避けるためにも、メリットとデメリットを踏まえたうえで代償分割をするか検討しなければなりません。
埼玉県の狭山を中心に入間市、日高市、飯能市、川越市、所沢市やその周辺エリアで不動産売却、ふどをご検討中の方は、私たち「ハート・コンサルティング株式会社」にお任せください。
相続不動産に関するお悩みやご相談も承っております。