2025年10月29日

親から土地や家を相続したけれど、売るべきか残すべきか迷う方は少なくありません。税金や維持費、家族の思い出など、判断にはさまざまな要素が関わります。本記事では専門家目線で、相続不動産の整理方法や考え方をわかりやすく解説します。
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相続した家や土地は「売却する」か「残す」か、大きく二つの選択肢があります。どちらもメリットとデメリットがあり、正しく理解しておくことで後悔しない判断ができます。ここでは売却と保有、それぞれの特徴を整理しましょう。
売却は現金化できるのが最大のメリットです。住宅ローンの返済や生活資金に充てられるほか、遠方で管理できない不動産を手放すことで負担も軽減されます。
ただし、売却益には譲渡所得税がかかる可能性があります。相続不動産には「被相続人の居住用財産(空き家)の3,000万円特別控除」などの軽減措置もありますが、適用には要件があるため注意が必要です。また、思い出の家を手放すことに抵抗を感じる方もいるでしょう。
残す場合は、資産として将来の活用が見込めます。空き家を賃貸に出せば収益につながることも。ただし維持費が毎年かかり、管理を怠れば老朽化で資産価値が下がるリスクがあります。
特に空き家のまま放置すると、倒壊の危険がある、衛生上有害である、景観を著しく損なうなどの理由で特定空き家に指定され、固定資産税の住宅用地特例が外れて税額が大幅に増える場合があるため注意が必要です。
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相続不動産の判断で避けて通れないのが税金です。相続税は基礎控除があるため多くの家庭では課税されませんが、固定資産税は毎年かかります。実際の金額や仕組みを理解しておきましょう。
基礎控除は「3,000万円+600万円×法定相続人の数」。例えば子ども2人なら4,200万円まで非課税です。地方の土地や自宅だけなら、課税されない家庭も多いのが実情です。
なお、2024年1月1日以降、生前贈与加算の対象期間が3年から7年に延長されており、相続対策を検討している方は注意が必要です。
建物や土地に毎年かかる税金。住宅が建っていれば「住宅用地特例」で最大1/6に軽減されますが、老朽化で特定空き家に指定されると軽減措置が外れ、税額が最大6倍に増える可能性があります。
2024年4月から義務化されており、相続の開始および所有権を取得したことを知った日から3年以内に手続きが必要です。正当な理由なく手続きを怠ると、10万円以下の過料が科される可能性があります。
税金の知識を持つだけでも「無駄な出費を避ける」第一歩になります。
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相続は「財産」だけでなく「感情」も関わるため、トラブルになりやすい分野です。大切なのは、早めに家族と話し合いをして方向性を共有することです。
話し合うべきポイント:
こうした具体的な点を話し合うことで、後の揉め事を防げます。特に不動産は分けにくい資産なので「現金化して分割」するのも一つの解決策です。
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相続不動産を売却すると、まとまった資金を得られます。その資金の使い道を考えておくと、売却後の生活に直結します。
活用例:
資金を計画的に使うことで、相続を「負担」ではなく「未来への一歩」に変えることができます。
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相続不動産は法律・税金・不動産の知識が複雑に絡むため、自分たちだけで判断するのは難しいものです。早めに専門家に相談することで、不安を整理し最適な選択肢を見つけられます。
「相談する=大ごと」ではなく、「困る前の安心準備」と考えることがポイントです。
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相続不動産を「売るか残すか」で悩むのは当然のことです。しかし大事なのは迷いを放置せず、整理しておくこと。税金や維持費の現実を知り、家族で話し合い、必要なら専門家に相談する。それが一番の安心への近道です。
特に相続登記の義務化により、放置するリスクが高まっています。早めの対応で、相続を負担ではなく資産活用の機会に変えていきましょう。
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